森のノーベル賞受賞!三人の日本人快挙!賞金3000万円!

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森のノーベル賞といわれる『スウェーデンのマルクス・ヴァレンベリ賞』の授与式が、28日・29日にストックホルムのグランドホテルで、スウェーデン国王夫妻をお招きして行われました。

この賞の受賞に日本人3人の顔がありました。

この賞の受賞は、日本はもちろん、アジアでも初めての快挙です。

3人の日本人が受賞した画期的な技術とはどのようなものなのでしょうか?

目 次
・マルクス・ヴァレンベリ賞とは?
・近未来の素材「鉄より勝るセルロースナノファイバー」
・セルロースナノファイバー・クリスタルの用途
・画期的な技術とは?
・TEMPO酸化セルロースナノファイバー
・地球上で最も多く存在する資源
・日本での取り組み
・受賞した3人と受賞テーマ
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マルクス・ヴァレンベリ賞とは?

この賞は、『森林や木材科学における基礎研究や利用技術の研究開発を奨励』するため1980年に誕生しました。

ノーベル賞と同じくスウェーデン国王から授与される栄誉ある賞なのです。

ヨーロッパ最大の製紙・木材販売会社のストラ・エンソ社が設立したマルクス・ヴァレンベリ財団がつくったもので、授賞した研究内容は、世界的に注目されます。

ちなみに賞金は、200万スウェーデン・クローナ(約3000万円)です。

Grand_hotel

グランドホテル・ストックホルム

近未来の素材「鉄より勝るセルロースナノファイバー」

セルロースは、木質の重要な成分の一つです。

この繊維が、場合によっては高さ100メートルの樹木を支え、屋久杉のように数千年も生き続ける素材なのです。
そして法隆寺のように1000年経っても強度を保ち続けます。

このセルロースを超極細のナノレベルまで分離すると、セルロースナノファイバーと、さらに小さなセルロースナノクリスタルとなります。

これらを加工すると、鋼鉄の5倍の強さを持ち、比重は5分の1という軽量・高強度な機能を有するようになります。

さらに

  • 低-熱膨張性:熱で膨張しにくい。
  • 生-分解性:微生物によって分解される性質である。土に還りやすい。
  • 生体適合性:人体に影響を及ぼしにくい。人工関節など。
  • 可食性:食べられること。

など優れます。

また加工の仕方次第で透明なシートにもできるのです。
しかも、生ごみのまま捨てても、土に還ります。

 

セルロースナノファイバー・クリスタルの用途

その特徴を生かし、さまざまな用途が考えられています。

保水力と粘性を活かせば

  • 食品
  • 化粧品
  • 塗料
  • 接着剤
  • 医薬品における安定剤

を製造するのに有用です。

また

  • 強度と軽さを利用して繊維強化複合材料を製造

することもできるでしょう。

いつか鉄など金属マテリアルに取って代わる時代が来るかもしれません。

 

画期的な技術とは?

未来に希望を与えてくれる新しい素材ですが、樹木からナノレベルまでセルロースを完全に分離するためには、これまで莫大なエネルギーと化学薬品を使用しないと完成できないことが障壁となっていました。

ところが磯貝教授を中心とする3人のチームは、従来にない高効率でセルロースを
ナノファイバー化することを可能にしたのです。

特定の酸化反応を使用したところ、幅3ナノメートルという均一なナノ材料を完全に分離することができたました。

そして、それに要するエネルギーは従来の20分の1以下と劇的に低下させることに成功します。

その特定の酸化反応とは『TEMPO酸化』です。

これは、産業化への大きな前進となり、今回の授賞は、その業績に与えられました。

nano

TEMPO酸化セルロースナノファイバー(引用)

樹木中のセルロースは、精緻な階層構造を形成して細胞壁となり、大きな樹木を支えています。

その中で近年注目されているのが「ミクロフィブリル」と呼ばれる構造単位です。

セルロースミクロフィブリルは、幅がわずか数ナノメートルで長さは数ミクロンと長く、化学的に安定で物理的に強固な優れたナノ素材です。

しかし、樹木中のミクロフィブリルは細胞壁内でお互いに強く結束しており、ミクロフィブリル1本1本を解いて材料利用することは従来できませんでした。

当研究室では、TEMPO触媒酸化と呼ばれる化学反応と軽微な機械処理を組み合わせることにより、セルロースをミクロフィブリル単位に解くことに世界で初めて成功しました。

TEMPO触媒酸化とは、水中、常温・常圧下で行える環境にやさしい化学反応です。

当研究室ではこの新たなバイオナノ素材、「TEMPO酸化セルロースナノファイバー(TOCN)」の多種多様な応用展開を検討しています。

例えば、水に分散したTOCNを成膜すると、透明で強く、熱に安定なフィルムができます。更にこのフィルムは酸素をほとんど通さず、酸化防止膜として優れた性能を持つことも分かっています。

TOCN

TOCN(TEMPO酸化セルロースナノファイバー)

 

「透明で強く、熱に安定なフィルム」とは、毎日の食材を保管する際に使っているラップ類がそうです。

石油でなく、自然の木や草からラップが作れるようになるんですね。
これ全部で、家を建てる材料が全部そろいそうですね。

 

地球上で最も多く存在する資源

セルロースナノファイバーはバイオマス由来で地球上で最も多く存在する炭水化物であり、太陽の光と水、二酸化炭素があれば再生産可能です。

樹木に限らず、竹でも稲ワラなど草本類でも海藻でも取り出せます。

つまり尽きぬことのない資源なのです。

世界中には1兆トンのセルロースが蓄積されています。

次世代の産業資材であり、環境に優しいマテリアルとして注目されているのです。

 

日本での取り組み

日本には豊富な森林資源があります。

それも多くが未利用な状態で眠っています。

現在はバイオマス発電の燃料として燃やすことばかりに目が行っていますが、そんな使い方はあまりにもったいない。

燃やせば二酸化炭素が発生するだけですが、セルロース資源を先端材料として利用して社会に蓄積すれば、地球温暖化の防止や循環型社会の構築にも貢献できるようになるでしょう。

このナノセルロースの研究は、北欧や北米など世界的に取り組まれているが、とくに世界をリードしているのは日本です。

  • 東京大学の磯貝チームはセルロースナノファイバーの研究
  • 京都大学生存圏研究所の矢野浩之教授のグループはセルロースナノクリスタルの研究
  • 京都市産業技研グループ
  • 岡山グリーンプロジェクト
  • 九州大学の近藤哲男チーム

で精力的に研究されています。

 

受賞した3人と受賞テーマ

本来であれば、この項目を一番最初に持ってきたかったのですが、素人の私には少々難解でしたので、皆様にも、ある程度の解説ののちに、お三方の偉大さを再確認していただきたかったので、最後に紹介とさせていただきました。

受賞者

  • セルロースナノファイバー(CNF)の画期的な製造技術を開発した
  • 東京大学大学院農学生命科学研究科生物材料科学専攻の磯貝明教授
  • 同じく齋藤継之准教授
  • 並びに現在はフランス・グルノーブルの植物高分子研究所に所属している西山義春博士

授賞したテーマ

「CNFのTEMPO触媒酸化に関する画期的な研究、および木材セルロースからナノフィブリル化セルロース(NFC)を高効率で調製する前処理方法として、この酸化を利用開発した業績」

つまり、化学を扱っている方の中ではよく知られている「セルロースナノファイバー」を、従来よりも簡単にしかもローコストで取り出すことができる方法を発見したことが評されているのです。

バイオマスの4~8割を占めるセルロースの活用の道を大きく前進させた功績です。

 

【注釈】TEMPO
tempo

有機化合物のTEMPO とは、ニトロキシルラジカル (R2N-O•) の一種、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン 1-オキシルの略称である。安定な有機フリーラジカルの代表例であり、試薬として市販されている。有機合成において、再酸化剤とともに酸化反応の触媒として用いられる。また、ラジカル捕捉剤として、反応系中のラジカル発生を探知するプローブとなる。一般に「テンポ」と読まれる。
TEMPO は有機合成において、1級アルコールをアルデヒドに変える酸化剤として次亜塩素酸ナトリウムとともに用いられる。

【参照・引用】
http://psl.fp.a.u-tokyo.ac.jp/6.html
https://ja.wikipedia.org/wiki/TEMPO#cite_note-ref1-1

 OTARD-KEN 

最後まで読んでいただきましてありがとうございます。
『いいね』いただけるとありがたいです。 

 

    
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