海運のノーベル賞!エルマー・A・スペリー賞!山口琢磨!

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エルマー・スペリー賞

今から5年前の2010年、輸送界のノーベル賞と言われる「エルマー・A・スペリー賞」を受賞した、日本人がいます。

御年90歳の山口琢磨氏です。

現在も現役のタイセイ・エンジニアリング 株式会社 代表取締役を務めておられます。

日本が世界に誇る輸送界のエジソンの姿に迫ります。

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プロフィール

山口琢磨

  • 氏名:山口琢磨(やまぐち たくま)
  • 1925年(大正14) 島根県に生まれ。
  • 旧制の松江中学、松江高校卒業。
  • 1946年(昭和21) 東京大学 第一工学部 船舶工学科へ進学。
  • 東京大学卒業後、東京大学大学院へ進学。
  • 結核を患い、6年にも及ぶ療養生活を送る。
    療養中、山口さんは好きだった語学の勉強に打ち込み、英語をはじめフランス語、ドイツ語、ロシア語、スウェーデン語も堪能に。
  • 1953年(昭和28) 財団法人(現在は一般社団法人)船舶設計協会の技師として防衛庁の警備艦設計に携わる。
    (戦時中に技術士官候補として徴用された際、身につけた技術が役立つ)
  • 1958年(昭和33) 仲間と共に現在のタイセイ・エンジニアリング株式会社を設立。
  • 設計部長として各種船舶設計を担当。
  • 1985年(昭和60) タイセイ・エンジニアリング株式会社の代表取締役に就任
  • 2010年(平成22) 世界初の「押航〔おしぶね〕船団連結装置(アーティカップル)」の開発でエルマー・A・スペリー賞を受賞。
  • 2015年(平成27) 90歳になった今もタイセイ・エンジニアリング株式会社にて現役社長 兼 技術リーダーとして活躍中。

 

世界的な技術開発とは?

港湾内の荷物を運搬する「艀(はしけ)」

はしけ

艀(はしけ)

従前のはしけ輸送は、ワイヤロープ等でボートとバージを連結していました。

山口氏が考案した『アーティカップル(押航船団自動連結装置)方式』を導入することで、プッシャーボートとバージを直接連結(一体化)させ、安全性を向上させることができました。

プッシャーとバージ

プッシャーとバージ

 

どうしてこの構造が必要だったのか?

昭和50年代に人口島の埋め立て事業が盛んになり、当初は近場の土で海を埋め立てていました。

たとえば、神戸のポートアイランドは、瀬戸内海の島を削った土や明石(パールブリッジのあたり)の山を削って埋め立てに使っていました。

埋め立て

瀬戸内海の島を削った土は、ガット船なども使っていましたが、より効率のよい、船底が開く艀(はしけ)が使われるようになりました。

艀-残土

 

ところが、艀を引く場合は小回りが利きにくく、接岸時や土の搬入時にはもう1隻のタグボートが必要でした。

そこで、引くのではなく、タグボートで押すタイプの航行をすることで、これを解決しようとしました。

紅茶セット

押船(おしぶね)

『押してダメなら引いてみな!』よろしく、引いてダメなら押してみたら、ということで、艀を後ろから押す「押船(おしぶね)」でコントロールできるようにしました。

押船を「プッシャー」、艀(はしけ)を「バージ」と呼び、この形態を『プッシャー・バージ』或いは『バージ・プッシャー』と呼ぶようになりました。

押船

プッシャー・バージ

ところが、艀とボートを結んでいるロープが、そんなに大きくない波でも切れてしまうことが多発しました。

たとえば、大きな船舶が通過した後に起こる港内の波でも切れてしまうことがあったのです。

海上で、艀をつないでいるロープが切れたら、艀はどこへ行ってしまうかわかりません。

これでは大変です。

そこで、編み出されたのが、『アーティカップル(押航船団自動連結装置)方式』なのです。

 

アーティカップル(押航船団自動連結装置)方式

ロープでは、艀(はしけ)と押船をしっかりと固定できないことから、航行中には、ガッチリと連結できる構造を考案します。

ところが、問題がありました。

荷物を満載した艀(はしけ「バージ」)に押船(おしぶね「プッシャー」)を連結して航行し、目的地で荷物を下した時に、艀(はしけ「バージ」)が軽くなって浮かび上がる高さに、押船(おしぶね「プッシャー」)が対応できずに転覆する恐れがあることがわかりました。

実際に荷物を下ろすと、1m以上も艀が浮かび上がります。

そこで、連結部を可動式にして、様々な高さで連結できる仕組みを編み出したのです。

  • こちらが連結(結)の状態です。
    連結
  • こちらが連結(離)の状態です。
    連結

 

  • 同時に、縦割りにした場合の図がこちら、

高さ

いろんな高さで固定できるようになっています。

これに、連結がはずれていない時は、船底を開放して土などを一気に投下することなどができないように安全設定を仕込めば、転覆などの事故は防ぐことができます。

ちなみに、土を積み込むときは、一気に艀が下がることはないので、つながったままでしたら

「あ~、ちょと、待って待って・・・。」

みないに対応すればこと足りますね。

  • 写真で見るとこんな感じです。
アーティーカップル

アーティーカップル

 

アーティカップル最大の特徴

これまで、艀は、港内や内海(瀬戸内海など)でしかこうこうでしたが、アーティカップルは、「プッシャー・バージ」の外洋進出を可能にしました。

たとえば、瀬戸内海の島で砕石したものを、東京湾の埋め立てに使うことができるようになったのです。

この効率の良さは、海洋運搬の幅広い分野で採用され、輸送界のノーベル賞と言われる「エルマー・A・スペリー賞」を受賞するに至ったのです。

 

世界進出

この外洋航行が可能な『アーティカップル』は、国内での実用化から3年後にはインドネシア定期航路に進出し、輸出とともに原木の輸入に多いに寄与しました。

『アーティカップル』は、こうした実績が認められアメリカやロシア、ブラジル、北欧諸国と世界的なニーズに応えることになったのです。

さらに3点支持式の連結装置「トリオフィクス」を開発イタリア鉄鋼公社に採用されました。

そしてこれら二系統六機種のタイプの連結装置は顧客のニーズのほとんどをカバーするものなったのです。

 OTARD-KEN 

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