庁舎の非常用電源!467自治体対策不備!震災から学ばず!

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水害

ことし9月の豪雨で、茨城県常総市の庁舎にあった非常用電源が水没し、業務に支障が出たことが問題となっています。

総務省消防庁が全国の設置状況を調べたところ、非常用電源を浸水域より高い場所に置くなどの対策が取られていない県や市区町村の庁舎が、202か所に上ることが分かり、265の市町村には非常用電源がそもそも設置されていませんでした。

福島原発の電源も水没が原因で機能しなかったことがわかっているのですが、今になっても行政の庁舎で対策が講じられていないのは、なぜなのでしょうか。

目 次
・関東・東国豪雨での実害
・非常用電源(予備電源の種類と関連法規)
・総務省消防庁が要求しているのは
・非常用発電機の長時間運転
・小規模庁舎での対応困難
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関東・東国豪雨での実害

ことし9月の関東・東北豪雨では、堤防の決壊で、茨城県常総市の庁舎の地上部分にあった非常用電源が水没し、電話が使えなくなるなど、業務に支障が出ました。

これを受けて、総務省消防庁が、災害時に対策本部が置かれる県や市町村の庁舎を対象に非常用電源の設置状況を調べたところ、

  • 浸水域より高い場所に置くなどの対策が取られていないのが、富山県と大分県、沖縄県の3つの県と、199の市区町村の、合わせて202か所に上り、
  • 265の市町村には非常用電源がそもそも設置されていませんでした。

総務省消防庁はすべての都道府県に通知を出し、非常用電源の確保を早急に図るとともに、災害時に確実に使えるよう、浸水や地震を想定した対策を取ってほしいと呼びかけています。

つまり、災害時の対策本部が置かれる県市町村庁舎の非常用電源が対象の調査で、水害に弱かったり設置されていなかったりということです。

ところで、災害時の対策本部はどこに置かれ、非常用電源とはそもそもどういった役割のものなのでしょうか。

 

災害対策本部とは

  • 災害が発生した、又は発生するおそれがある場合に地方自治体が地域防災計画の定めるところにより首長を本部長に、関係都道府県および市町村の職員を本部員とする災害対策本部を設置することが出来る。
  • 地方防災会議とは別の組織であるが、緊密に連絡を取り合うものとされる。
  • 連絡調整のために災害対策本部会議と称される会議が開催されるがこの場には自衛隊の連絡幹部など本来は参加が予定されていない機関の代表も参加し、連絡調整を行なうことが多い。
  • 応急対策に一応の目処がついた段階で「復興本部」と称されるような組織に事務が移管され(またはそのまま)解散する。
  • 災害地にあって当該災害対策本部の事務の一部を行う組織として、防災計画の定めるところにより必要に応じて現地災害対策本部を設置する。
  • 災害等が「発生するおそれがある場合」は対策本部ではなく「警戒本部」を置くと定める自治体もある。
  • 置かれる部署は、平常のものと大差なく(役所・市町村の役所の部署)が非常対応のものになっている。

 

非常用電源(予備電源の種類と関連法規)

非常用に使用する電源は、電気設備技術基準、消防法、建築基準法の3種類に分類されます。

電気設備技術基準に定められた保安用電源

電力会社からの電源供給が途絶えた場合、需要家内にある電気設備の機能を維持するための「保安用電源」や「業務用電源」です。

避難や消火活動に使用する予備電源ではなく、業務の継続や、保安用としての位置付けになる予備電源です。

消防法における非常電源

消防用設備への電源供給が途絶えた場合に使用する「非常電源」です。

消火栓、スプリンクラー、消防排煙設備などに接続し、商用電源が遮断されても、消防用設備が適切に動作できるよう、電源を供給する設備です。

消防法により、それぞれの消防設備に供給しなければならない時間が決められています。

  • 定格負荷で60分以上連続運転できること、
  • 燃料油は2時間以上の容量を持つこと、
  • 40秒以内に電圧確立することなどが定められています。

建築基準法における予備電源

非常用照明、排煙機などの電源として使用する「予備電源」です。

消防用設備の非常電源と同様、商用電源が遮断されても、一定時間は非常用照明などが動作するように計画されます。

  • 防災設備に30分以上電源供給できること、
  • 30分以上連続運転できる容量を持つこと、
  • 40秒以内に電圧確立することなどが定められており、
  • 消防法における非常電源と併用することが可能です。
  • 併用する場合、消防法と建築基準法のどちらの基準も満足できるような機種選定が必要になります。

 

総務省消防庁が要求しているのは

ここで、見えてくるのが、総務省消防庁が各県市町村に要求しているのは、

『関東・東北豪雨の堤防の決壊で、茨城県常総市の庁舎の地上部分にあった非常用電源が水没し、電話が使えなくなるなど、業務に支障が出たことが問題』

になっていることから、非常時に電話が使えることなどの電源が整備されることと思われます。

つまり、消防法や建築基準法に基づく電源はもとより、業務の継続や、保安用としての位置付けになる予備電源まで範囲を広げるものを要求しているということです。

 

非常用発電機の長時間運転

  • 非常用発電機を長時間運転させる場合、長時間対応形の非常用発電機を採用します。
    法的には2時間以上の運転時間が一般的ですが、4時間・8時間など、特に長い継続運転時間を指定された場合は、別に燃料タンクを設ける対応が必要です。
  • 燃料貯蔵量によっては危険物取扱所になってしまう可能性があるので、指定数量の考え方を理解し、指定数量を超過しない燃料を選定する必要があります。
    あるいは、地下タンク貯蔵所とすることで、指定数量を超える貯蔵でも、法規制を緩和することができます。
  • 非常用発電機は通常、72時間連続運転が標準的メーカー保証時間となっています。
    それ以上の連続運転をしたい場合、超長時間運転対応としての改造が必要になることがあります。
    採用予定の発電機メーカーに、運転時間による能力補正の必要有無を確認してみるのが良いでしょう。
  • 発電機を運転するためには、潤滑油の存在が重要です。
    潤滑油が喪失すると、駆動部が異常発熱し、回転できなくなります。
    通常、運転を継続したまま潤滑油を補給できないため、潤滑油の容量が連続運転時間に直結します。
    連続運転を行う場合は、潤滑油の容量を確認することが重要です。

ここまでで、思いつくのは、非常用電源で72時間稼働可能な機種を2機以上設置して、交互に電力の供給ができるように設置することが必要になることがわかります。

また、電話や一部の会議室などの電力を供給するだけであれば、蓄電池と太陽光発電などを組み合わせた、自家発電インフラを省庁内に構築することで対応が可能になります。
ただし、災害対策本部でどのぐらいの電力が必要で、太陽光発電で賄える電力と蓄電池の対応容量などを十分に精査する必要があります。

 

小規模庁舎での対応困難

ここで気になるのが、非常用電源がそもそも設置されていなかった265の市町村です。

想像するに、小規模な庁舎で、消防法上の規格にも当てはまらない規模故に非常用電源が設置されていなかったのではないかということです。

非常用電源設備の設置には様々に規制があって、今回注目されている水害の他にも、当然、火災の発生時に機能しなくなるようでは意味がありません。

非常用発電機の離隔距離

非常用発電機を配置する場合、消防法や火災予防条例によって、保有距離が定められています。制御装置等を全て内蔵したキュービクル式非常用発電機設備の場合、操作面で1m以上、点検面で0.6m以上、換気面では0.2m以上の空間を確保しなければいけません。
キュービクル式以外の場合、自家発電装置本体は周囲から0.6m以上、相互間は1m以上の離隔を確保します。操作面は1.2m以上、点検面は1m以上確保するなど、規制が厳しくなります。建築物からは3m以上の離隔を確保する必要もあります。3m未満の範囲に建築物が存在する場合、建築物側を不燃材料とし、開口部を防火戸等にすることで、規制を回避できます。

これらの要件を満たす火災兼災害用非常電源の設置は想像以上に費用が掛かりそうです。

これまで、火災や地震対応に主眼をおいていた非常用電源に津波や水害の要素を考慮する必要が出てきたからです。

燃えやすいものなどからの距離以外に、一定の高さに設置させなければなりません。

いっそ、高台に災害用庁舎を建てた方が簡単な地域もあるのではないでしょうか。平時は、地域コミュニティーや職員福利厚生施設として使えばいいのですから。

 

OTARD-KEN

最後までお付き合いいただきましてありがとうございます。
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